このコーナーでは日本テリアのスタンダードを二つ表記します。どちらも言葉に多少違いがありますがその表現には参考になるものがありますのでご覧ください。最初にジャパンケネルクラブのものを、次に日本テリアクラブのものです。こちらのほうは非常に興味深い記述が多くあります。(日本テリアクラブは残念ですが現在活動していません)
日本テリア、 JKC犬種標準書より 第10版
:沿革:
1700年代にオランダから長崎に渡来したスムース、フォクステリアを祖として、土着の小型犬を配して、日本的に改良したもの。“お雪テリア” または ”ミカド、テリア” と称して,主に神戸、横浜などの港町で、抱き犬として愛育され、昭和のはじめ頃計画的な改良繁殖によって固定された。
:一般外貌:
スマートな外貌、鮮明な輪郭の引き締まった小型犬で、被毛は非常に短く、2mm内外である。
:重要な比率:
体高と体長は等しい。マズルとスカルの長さは等しい。
:性格・習性:
機敏ではつらつとしている。
:頭部:(ヘッド)
☆頭蓋部(クラニアル・リージョン)
・スカル
平らで適度に狭い。
・ストップ
あまり明瞭ではない。
☆顔部 (フェイシャル・リージョン)
・鼻 (ノーズ)
黒く、鼻梁は真っ直ぐである。
・唇 (リップス)
薄くよく引き締まっている。
・顎/歯 (ジョーズ/ティース)
歯は強くて白く、シザースバイトである。
・頬 (チークス)
肉薄で張らない。
・目 (アイズ)
適度な大きさのオーバル(たまご型)で、暗褐色である。
・耳 (イヤーズ)
付け根は高く、適度に小さなV字型で薄く、前方に垂れる。笹耳(ローズイヤー)でも
良い。
:頸: (ネック)
適度に長く力強く、肩の方向へ徐々に太くなる。スローティーネスはない。
:ボディー:
☆キ甲 (ウイザーズ)
高い
☆背 (バック)
短くしっかりしている。
☆腰/尻 (ロイン/クループ)
わずかにアーチし、力強い。
☆胸 (チエスト)
深いが、前胸はあまり広くない。肋は良く張っている。
☆腹部 (ベリー)
よくタックアップしている。
:尾 : (テイル)
適度に細く第3、第4尾椎骨あたりで断尾する。
:四肢 : (リムズ)
☆前肢 (フォアクオーターズ)
・肩 (ショルダーズ)
なだらかに傾斜する。
・前脚 (フォアレッグズ)
まっすぐで骨はそれほど太くない。
☆後肢 (ハインド・クオーターズ)
・大腿 (サイ)
よく発達している。
・膝 (スタイフル)
適度な角度である。
・飛節 (ホックジョイント)
適度な角度である。
・中足 (リア・パスターン)
垂直
☆足 (フィート)
指趾は緊握し、パッドは弾力があり、爪は堅くて暗色が望ましい。
:歩様 : (ゲイト)
軽快でリズミカル。
:被毛 : (コート)
☆毛 (ヘアー)
短く滑らかな毛が密生し、光沢がある。
☆毛色 (カラー)
頭部がブラック、タン、ホワイトの3色で、ボディはホワイトにブラック・スポット、ブ
ラック・マーキングまたはタン・マーキングがある。
:サイズ :
牡牝とも約30~33cm。
:欠点 :
上記の点からのいかなる逸脱も欠点とみなされ、その欠点の重大さは逸脱の程度に
比例するものとする。
・軽度の不正咬合
・2色毛
:失格 :
・長毛。
・過度の不正咬合。
日本テリアクラブ スタンダード
☆一般的特徴:
日本テリアは明るく、物事に対して敏感な感応性を示す活発な犬です。すっきりと引き締まったスマートな外貌をそなえ、筋肉は良く乾燥した印象を与えるスクエアータイプの小型犬である。その表情はデリケートで品位をそなえているが、動作は機敏であり、時には楽しげでひょう軽な行動に及ぶこともある。臆病、虚弱、陰うつ、活気の欠除、重厚な外貌、全体のバランスの欠けたものなどはすべて日本テリアの一般的な特徴を損なうものである。
☆頭部
頭部全体を上からみると、にぶいくさび型をしていて、頭蓋から口吻に向かって漸次狭くなっている。頭蓋は扁平で適度に狭く、正面から見るとストップは余り明瞭にはわからないが、側面からははっきり段落が認められる。また側面から見る時、眼を中心とした耳及び鼻の先端に達する長さは均等である。
☆眼
眼はアーモンドのような楕円形で、中庸の大きさをなし、色は暗褐色である。眼をとりまく縁の皮膚も黒くなければならない。これらが相まって、生き生きとしてやさしい表情をかもしだす。
☆耳
耳は頭蓋の上に高くつき、適度に小さく、また薄くV字型で約1/2が前方に垂れさがる。笹耳でも許される。笹耳の場合は頭蓋の両横に垂れさがるが、耳の付け根は低く頭蓋の横についてはならない。
☆頬
あまり張り出さないこと。
☆口吻
中庸の長さをなし、上顎、下顎共に力強く充実する。鼻梁の線は真直ぐで下顎もまた適度の厚みを持つ。
☆鼻
顔面に釣り合って比較的小さく、黒くなければならない。
☆歯と噛み合わせ
歯はできうる限り隙間なく生えそろいハサミのように噛み合う。
☆頸
頸は適度に長くすっきりとしていて筋けんたくましく、うなじはわずかにアーチして高く位置する。緊張時には誇らしげな外貌を伝える。
☆肩
なだらかに流れる線を描き、ほどよく傾斜して背につながる。
☆胸
肩の後方に位置する肋骨は程よく丸みを帯びていて、胸は深く肘まで達する。
☆背
比較的短く、強く、水平で弛緩しない。
☆腹
程よく巻き上がり、後肋とでん部との間は比較的短い。
☆腰
力強く、またわずかにアーチしている。
☆前肢
どの方向から眺めても真直ぐで肩の垂直線にあり、筋肉質であるが、スリムで乾燥した感じを与え、重厚な感じを与えるものであってはならない。狭く位置するものや逆に広く位置するものはともに好ましくない。前腕は適当な肉付きで、繋は柔軟であるが強い。
☆後肢
後肢は肉付きが薄く腿部は力強く筋けん質で、飛節と後膝関節は十分屈曲する。後ろから見ると飛節は並行する。牛のようなX型やあるいは逆にO型に湾曲した飛節は好ましくない。
☆指趾
小さくコンパクトで、やや楕円形である。
☆歩様と動き
正しいボディー構成と四肢に支えられた日本テリアはあたかも時計の振り子のようにリズミカルで美しい歩様を踏むことができる。おもな推進力を供給する後肢が正しく運動するときは、前肢とよく調和して連動し、軽快で活発、且つ敏捷な動きを示す。
☆尾
適度に細く、緊張時にこれを揚げるとき、直立する程度の長さに断尾する。
☆被毛
2mm前後の極短毛が密生し、光沢を有し、粗毛ではないこと。ただし、他の犬種のアンダーコートのような腰のないやわらかさではないこと。
☆毛色
頭部は黒色を主とし、両頬及び眼の上に茶色(タン)を配する。胴部は白色を主とする。
☆サイズ
体高、体長ともに30cm以内とする。牝は釣り合ってわずか低く小さい。体重は4kg以内とする。これも牝は釣り合ってわずか軽い。
☆失格
・陰睾丸
・2mmに達するほどの中短毛。
☆欠点
・極端な不正こう合
・外扁肘
・黒色、茶色、グレー、白色などが全身の主色となったもの。